UofT (トロント大学) 留学体験記🇨🇦

東大からトビタテ留学japan多様性人材コース11期生として、現在トロント大学に交換留学中の3年生。日々の生活とか、たまに考えたこととか、ごちゃまぜのブログ。

ほんとに単なる偶然から、自分にとってとても大切な人に出会えた話

おはようございます。
トロントでのホステル暮らしも残すところ後1日になり、寮に入居できることにワクワクしつつ、少し寂しくも感じています。


唐突ではありますが、中東情勢、おとといあたりからほんとに胸糞悪いニュースが続いていて心配なところです。
イラン・アメリカ間の緊張が高まると、当然イラン・イスラエル間での緊張も連鎖して高まることが予想されるので、5月からイスラエルへの渡航を考えている私にとっては少なからず影響がありそうです。

昨日は夜寝つく前に中東情勢の記事をTwitterなどで確認しすぎたせいか、自分がイランにいて、戦争が実際に発生し、イランがアメリカから空爆されて焼け野原になる、みたいな強烈な悪夢を見てしまいました。
たった今、私ができるのは戦争に至らないよう祈ることだけだと思うと本当にはがゆいし、無力感に苛まれます。



話題は一変しますが、ついさっき、このホステルで知り合い仲良くなった女性がモントリオールの自宅へと帰路につくということで、お別れをしていました。

彼女と知り合ってからたった1日にもかかわらず、私にとって彼女は本当に大切な存在になりました。
詳しくは前回の記事に書いてありますが、彼女からは本当に多くのことを学びました。


彼女と色々と話している中で、私が一人っ子で、シングルマザーの元で育って、しかもあまり母との仲が良くないんだよね、という話をした時、彼女は目に涙を浮かべながら私の話を聞いていました。

"You are too alone, your friends must be like a family for you. A good thing about friends is, unlike our own families, we can choose who to be friends with. And, I think they are so important especially for you."

彼女の言葉を聞きながら私の方までもらい泣きしそうになってしまいました。
まさにここ数日私が感じていたことをズバリ言い当てられて言語化されてしまったというか。

ちょうど昨晩、instagramでポストをすると、ここ最近会えていない友達も含めてたくさんの友達が会いたい、とか、留学応援してるよ、みたいなコメントをくれました。
本当にありがたかったし嬉しかったし、励まされました。よっしゃこっからまた次の学期も大変だろうけど頑張るっきゃない、と。



また、彼女からは母との関係についてこのようにもアドバイスされました。

"You and your mom both cannot justify yourselves. And if you feel like you are being controled, you have to tell her what you expect from her without arguing and being overwhelmed by your emotion. Love is what is opposite to controling. And, you should really talk with her."

"Everyone deserves the second chance, and we have to be forgiving towards others as we always make mistakes."

多分、これらのことがすでに内面化されてる人にとったら、いや人として当たり前やん、とか、何を今更、みたいななんでもない言葉に感じられるんだと思います。
けれど私には、特に母との関係で私に欠けていたのってとことんこれらのことに尽きるなあとしみじみ考えさせられました。

二度と母と仲良くなることはないだろうし、なりたくもないわ!みたいな。

けれど、母が生みの母親である事実は一生変わらないし、彼女が言っていた通り自分自身の態度や行動を"justify"するために、どんなに仲が悪くても実は母が私のことを心配してくれているとか、そういう自分にとって都合の悪い事実は直視しないようにしていました。

実際、今朝、ホステルを旅立った彼女と話す前、母からは中東情勢について喚起してくれるメッセージや、イスラエルでのインターンの代替案としての渡航先を紹介してくれそうな知り合いの人がいるから連絡とろうか?といった内容のメッセージを受け取っていました。


おそらく、今までの私ならこのようなメッセージを見てもなお、まあ一応書面上親権持ってるし、さすがに死なれたら後悔するかも程度の表面的なもので送ってきただけなんだろうな、みたいな死ぬほどひねくれた反抗期のクソガキみたいな受け取り方しかできなかったと思うし、母からのメッセージがどれだけ自分にとってありがたいものか、factベースで受容することができなかったように思います。
(彼女からは、私やあなたみたいな人間は、他人の感情を予測して読み取るだけじゃなくて、もっと実際に起きている事実に基づいて客観的に物事を判断する姿勢を保つことが大切だと思う、というアドバイスも受けていました。)


去り際、"I am going now, but before I'm leaving, I wanna hug you." と言って抱きしめてくれて、しかもモントリオール来るときは教えてね、郊外だから中心部からは離れてるけれど、あなたならいつでも喜んでうちに迎えるよ、と言ってくれた彼女のことを勝手にではありますがもはや第二の母のように感じてしまいました。



この出会い、もし私が昨日の朝もっと朝ごはんを早く食べ終えていたら、もし彼女がチャイナタウンに行って来ると声をかけてくれたとき、自分も同行したいとオファーしなかったら、もし彼女が7歳の双子の母でありながらつい最近離婚したという話を聞いて、遠慮して自分が聞きたいこと、悩みを正直に打ち明けなかったら、こんな素敵な出会いをすることもなかったし、私に欠けていた多くのことを学べることもなかったんだろうな、と思うと、本当に不思議な感じがするのと同時に、一期一会の大切さとか、留学での出会いってほんとに貴重なものになるんだなあとか、色々と考えて感極まってしまいました。


とにかく、年明け早々トロントに一人ぼっちで寂しさを感じていた私をこんなにもあったかい気持ちにさせてくれた彼女には感謝の意しかありません。
本当にありがとう。

時差ボケとあまりの空腹感で眠れなさすぎて色々考えたこと@ホステル in トロント 〜自分の将来像について迷っている人へ〜

留学体験記と称しておきながらあまり私の留学生活それ自体と直接は関係しない、自分の将来像とか様々考えたことがあったのでこれもせっかくだし備忘録的に書き留めておこうと思います。


一度記事にしたトロントでの住まいについてですが、このWinter semesterからなんとめちゃくちゃラッキーなことにon campusのトロント大学生専用の寮に入れることが決まりました!
この寮は主にトロント大学正規生の中でも1年生以外で受け入れられることは稀なようで、今回単なる交換留学生の私が、しかも年次の途中から受け入れてもらえたのは奇跡に近いといえます。運が良すぎた。

が、一つ問題なことに、この学生寮、1月5日の再オープンまでのwinter breakの間、文字どおり全ての生徒が寮から追い出されてしまいます。
さすがに真冬のトロントでホームレスになる勇気のなかった私はそういうわけで現在トロントでホステル暮らしをしています。

個人的に旅行大好き人間の私は一人旅をする時、決まってホステルに泊まるようにしています。
ホステルの魅力は安いこと、朝食付きのところが多くて楽なこと、そして何と言っても他にも多くの旅行者がいるので1人旅でもそんなに寂しい思いをしなくてすむし、基本的にとってもフレンドリーな人が多く、時には一緒に観光する友達も作れてしまうことです。

今回のブログでは昨晩の夜からついさっきまで、旅行帰りの時差ボケと夜ご飯抜きで寝落ちした空腹感から完全に目が冴えてしまい暇すぎて考えたこと、そしてホステルで出会った女性と話していて学んだことから総合的に今自分が思っていることをつらつら書きます。
*留学生活との関係性は薄いのでこの記事丸ごと読み飛ばしてもらって構いません。



まず、自分の将来像について。
なんとなく、今までの私って、自分の「今これしたいと思ってるからマジでやっちゃうもんね」みたいな行動規範に従って生きていたにもかかわらず、こと仕事だとか結婚だとか家族だとか、先の話となると知らず知らずのうちに、自分のwantの感覚よりもべき論に従って考えてしまっていんじゃないかな、と思ってしまいました。


例えば、今まで私は自分の仕事について、今私が大学で学んでいることと密接に関係しているもの、そして直接的にこの知識を生かせるものである「べき」だ、という固定観念の中から、自分の将来像を描いていたような気がします。
実際のところ今現在のことで言えば、私は将来の仕事のために今の学問分野(国際政治、イスラーム、中近東)を選んでいるわけではなく、単にこれらについて勉強するのがシンプルに楽しいしワクワクするし自分がもっといろんなことを知りたいから、という完全に自己満的な知的好奇心によるものであって、だからこそかなり大学と仕事の接続で頭を悩ませてきました。

要するに自分の選択肢の幅を自分でめちゃくちゃに狭めていたんではないか、と感じ始めてしまったんです。

それは自分の学問分野もそうですが、東大生という肩書きもしかり、社会貢献すべきだ、といった一般論とか、職自体への世間的な評価とかもしかり。
そういう外的な要因に左右されて、自分が価値を置くものを中心軸に置いて熟考しないままに、なんとなく、自分を外から見たらこうであるだろう、こうであるべきだろう、こうであったら望ましいと思われるであろうペルソナを勝手に頭の中で描いて、無理やり自分から勝手にそっちに寄せてようとしていたんじゃないか。

もっと個人的なことで言ってしまえば、確かに私は今学んでいることが本当に好きだけれど、この内容それ自体を直接的に生かせそうだからと言って、そして公務員になる東大生が多いからと言って、それだけを理由に外交官になりたいっていうのはどうなんだろうか、本当に外交官としての仕事それ自体に私が魅力を感じていて、外交官として働くことが私のやりたいことなのか。

そんなの、ただ単純に他人に敷かれたレールの上を、べき論で無意識のうちに正当化して踏襲しようとしてるだけじゃないのか。


今日、朝食をとりながら仲良くなったカナダ人の女性と一緒にトロント探索をしながら、人生観について、結婚・出産に始まり、仕事、宗教、政治、社会、individualismとcollectivism、そして人間そのものの性質についてまで、とにかく色々話あって、私に欠けていたのは自分が大切にしている価値を自分の好きなことで実現できる職を探す姿勢だったんじゃないかと確信しました。


私が個人的にこれだけは譲れない、と思っている価値は、どのような形であれ、「他者に感動や幸福感を与えられる人間になる」ことです。

そういう意味で、自分にもし才能さえあれば、歌手か芸人になりたかったなあ、と思います。
なぜなら私にとって一番の感動を与えてくれるものって音楽で、一番楽しませてくれるのはお笑いとかバラエティ番組で、どちらも一瞬で多くの人の感情に訴えかけられる絶大な力を持っていて、そうやって他人にいい意味で影響を与えらえる仕事って本当に素敵だと思えるからです。

よくよく思い出してみれば中学の時、甘いものに目がなかった私は、中学を中退して専門学校に進学後フランス留学、そしてパティシエの道に進むんだと言い張って親と対立したけれど、掘り下げるとおかし作りが好きだったことだけじゃなくて、これだけ自分に幸福感と感動を与えてくれるフランス菓子を作れるようになって、今度は自分が他人にそのような気持ちを与えられるような人間になりたい、という側面もあったんだろうなあ。


ホステルで知り合った彼女は言いました、
"A value always conflicts with someone's as it restricts liberties of people who do not share the same one, and sometimes it can be a cause of any conflicts. But at the same time we have to be aware of what we value, and you cannot let others judge you for that. It is really interesting, as everything is attributable to it."
そして、彼女と話していて、どうやら私はempathyに他の人よりも長けている可能性が高いこともわかりました。彼女に言わせれば、だからこそ他人にコントロールされやすい傾向があるみたいですが。



無理やり留学と関連づけてこの記事をまとめるとすれば、留学の醍醐味って、やっぱり、普段日本人以外のコミュニティと接することのできる機会が特に限られている日本人にとって、自分が当たり前だと思っていることに対して新たな視点を得られたり、普段意識されていない概念についての見識が広がって思考の幅とか柔軟性が格段に向上することじゃないかなと思います。
(例えば、私は彼女に教えてもらうまで、psychological violenceという概念が存在していることすら知りませんでした。そして、他人からcontrolされていないか、judgeされていないか、という視点に立って考えたことなんてほぼなかったなあと感じました)。

そして、降年する気満々の私にとっては社会に出るまでの時間的な猶予もできて、将来について見つめ直すいいきっかけになったなあとも思います。



てな訳で、ある意味で今まで築き上げてきた自分の人生計画を木っ端微塵に打ち砕くポテンシャルすら秘めている留学、もしかしたら安定思考な人の目にはリスキーにうつるかもしれませんが、私のような刺激大好きリスクテイカー型の人間や自分の将来像について行き詰っている人にはめちゃくちゃおすすめです。

今回もここまで読んでいただきありがとうございました:)

Fall semesterを終えてのざっくりした感想(授業とか、留学生活全体に対して)

お久しぶりです。旅行に課題に、加えて怒涛のテスト期間に、色々と追われていたことを言い訳に更新できていなかったブログをそろそろ再開しようと思います(年も明けたということで)。

2019年9月から12月の長かったFall semesterが終わり、そろそろ次のWinter semesterまで始まってしまいそうなので備忘録として色々感想を書き留めておこうと思います。

授業

まず、授業としては私は3つのコースを履修していました。

1つ目はPOL208Y1というコードで認識されている、国際政治の入門編のような授業で、これはFall semesterだけでなくこの次のWinter semesterにも開講される、1年間にわたって履修する形式の授業です。
2つ目はRLG204H1というコースで、これはイスラム教について、その歴史的な成り立ちからイスラム教を構成する基礎、思想、そして現代におけるイスラム教の立ち位置など、イスラムについて歴史にとどまらず様々な側面から学ぶ授業でした。
3つ目はNMC278H1というコースです。このコースでは現代の中東の情勢がどのように構築されていったのか、主に19世紀以降の中東の歴史的事象を学ぶことによって紐解いていく授業でした。

上記の2つの授業は最初の授業と違い、このFall semesterで履修が完結するものでした。
また、どのコースも講義以外にTutorialという少人数制のディスカッションクラスを受講しなければ行けなかったり、週2コマで開講されていたりしたので、コマ数としては週6コマでの履修をしていたことになります。

この週6コマという数字、日本の大学と比較するとめちゃくちゃ少なく感じるかもしれません。私も最初履修を決めているとき、なんだこれ余裕やん、とタカをくくっていました。
しかし、このように完全にトロント大学での授業を舐め腐っていた私は後々本当に痛い目を見ることになります。

まず、どの授業も毎回出される課題の量がえげつない。semesterの後半になるにつれてなんとか慣れていくことができたのもの、毎週数百ページものリーディングを、日本語ではなく英語で(あたりまえではありますが)こなすことは思っていたより相当大変で、正直にいうと課題文献の一部を読み終えられずに授業に出席することもしばしばありました。

そして、評価方法がとてつもなく厳しい。私の所属している東京大学では、多くの授業で学期末のテスト前日に一夜漬けで勉強して、テストさえパスすれば単位がちゃんとくるし、特にシケプリ制度が整っているような授業では出席すらしなくていい、みたいなものが多数を占めていました。

しかし、トロント大学ではテストでいい点数を取るのはもちろんのこと、その他にBook Essay(課題図書を読んで、その文献に対してのCriticalな考察を綴るタイプのレポート)、Essay(日本の小論文的なもの)、ディスカッションクラスでの貢献度、そして毎回の授業への出席、ここまで全て揃えてやっとこさ単位が来る、といった授業ばかりでした。しかも採点がめちゃくちゃ厳しい。
一番ショックだったのは、私が1週間かけて作成し、これで完璧やと思って提出した、第一次世界大戦以降の中近東での列強諸国による人種隔離政策とnation establishment,、難民キャンプの関係性についてのBook Essayが69%と採点されて返ってきたことですね。あの時はマジでへこんだなあ。


このように授業の負担がめちゃくちゃ重く、想像以上に勉強漬けの日々を送っていました。もちろん勉強疲れた、遊びたい、しんどい、と思った部分も往々にしてありましたが、1週間の一番の楽しみは授業に出席している時間でした。
なんせ、授業が本当に面白い。内容もそうだし、何より教授たちの「生徒に教える」ことに対する熱量がすごい。
これはおそらく大学のシステムに起因するものだと思いますが、トロント大学で授業をしている教授は自分たちで講義をする、という選択を行なっているので、日本の大学だとおろそかにされがちな教育者としての役割を大切にしてくれている教授が多いような気がします。
初めてイスラムの授業を受けた時、教授のあまりの熱量に感動して泣きそうになったことを思い出します。懐かしい。


まあこのようにざっくりと学習面に対する感想としては、このFall semester かなり楽しめたし、日本では学べなかったであろう方面への見識が格段に増えたし、それなりに納得のいくものだったかな、と思います。

けれど、留学全体としては反省するところも結構ありました。

留学生活全般

まず、1つ目の反省点は学習面の忙しさとトロントの寒さを言い訳にして、これまでの私では考えられないほどのザ・引きこもり生活を送ってしまったことです。

平日は授業を受けに行く以外ではほぼ外出せず、休日に至っては家にこもって課題をするかNetflix漬けの日々を送っていました。
今考えると、もっと友達とどこかにお出かけするとか、留学生との交流イベントに積極的に顔を出すとかするべきだったなあとかなり反省しています。


また、未だに自分の英語会話能力に自信が持てなさすぎて、自分から他人に喋りかけることへのハードルが日本にいる時に比べて格段に高かったことも痛感しています。

1回仲良くなった友達と英語で喋ることに対してはかなり抵抗がなくなり、そこのところは留学前から少しは成長した気がします。が、新しく友達を作ろうとするような場面とか、そこまでまだ仲良くなれていない友達と喋る時とかだと、どうしても自分が今正しい文法で喋れてるかが気になったり、なんとなく緊張してしまってとっさにめちゃくちゃ簡単な英単語が吹っ飛んで会話に詰まったり、正直まだまだなところが多いです。

改善する方法としては、経験則的に自分がちゃんと伝えたいと思ったことは、時間をかければ絶対伝えられるくらいの英語力は身についてきた気がするので、もう少し細かいミスとか気にせず自信持って自分から声かけてみたり、多少複雑なことととかくだらないことでも意識して口に出してみるようにしようと思います。



Fall semesterに関するgeneralな感想としてはこんなところですが、履修していたそれぞれの授業に対して考えたこととか、留学中に色々感じたこととか、他にも色々あるのでこれから追ってまとめていこうと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました:)

トロントで生活を始めるために必要なこと① 〜家探し編〜

今回は私にとって最大の鬼門だった、トロントでの住まい探しについて紹介したいと思います。


トロントでの住まい探し

まず、海外の大学に留学する、ってなったら普通寮生活を想像しますよね?

私もトロント大学に応募した時、当然のように学内の寮(on campusと呼ばれています)が支給されて、そこでぬくぬく暮らせるものだと思っていました。
が!なんと、トロント大学では状況がかなり違っています。

トロント大学に入学して4年間正規生として通学するlocal studentsの1年生はほぼ強制的にon campusで暮らし、他者との共同生活の術を学ぶように奨励されているらしいのですが、2年生以上になるとoff campusで暮らす人もかなりいるそうなんです。

しかも寮のavairabilityも限られていて、留学生が寮で暮らせる確率は限りなく低い、とのこと。

私もトロント大学のon campus housingで公募されていた寮全てに応募して(たしか10ヶ所くらい)、見事に全部落ちました。


実はトロント大学に留学したい、と思った理由の一つに、トロント大学の寮暮らしの様子を紹介しているブログを見かけ、
「やばい、トロント大学の寮素敵すぎる、ここで暮らしたい!」

…と感化された経緯がありました(単細胞すぎる)。

その寮はなんとホテルを改装して作られたらしく、寮内にジム、ビリヤード、卓球台、スタディールーム、高層ラウンジなどが完備されているほか、meal planに強制加入させられるので自炊もしなくてすむ、まさに私にとって夢のような生活を送れそうな場所だったんです。
(meal planは大学の各寮でご飯を用意してくれる制度です。多くの寮でブッフェ形式のダイニングホールが完備され、寮生は自由に食事をとったりおやつを食べたりすることができます。)


しかし、on campusで暮らす道が閉ざされた私に残されているのは大学の敷地の外(off campus)で暮らす選択肢だけでした。

そしてここから3ヶ月に及ぶ長い長い家探しの道のりが幕を開けます。

とてつもなく大変だったoff campus housingとの闘い

on campusで住宅を確保できなかった生徒のために、トロント大学ではoff campus housing というサイトページが用意されています。
ここではトロント大学生に家を貸したい人たちが空き家のリストを掲載していたり、家はあるけど部屋やお家をシェアして暮らしたいと考えている学生たちがシェアメイトを募集していたり、もしくは自分の家探しの条件を書いたプロフィールを投稿することができます。

が、このoff campus housing に掲載されている物件、なかなか高い。
トロント郊外で部屋をシェアする相場が月々500ドルくらいだとしたら、サイト内の平均価格はおそらく1200ドルくらいで、多くの物件が倍以上の家賃で掲載されています。トロント大学はトロントの中心部にあるので価格が高くなる傾向にあるみたいです。

当初金銭面でoff campusで住むことを渋がっていた私でしたが、7月に入り、留学まで残り2ヶ月を切ってきたあたりで冷静に考え始めます。

…いやまって。トロントの冬がマイナス25度とかになることを考えると、もし家がなくて路頭に迷うことにでもなったら普通に凍死するな。背に腹はかえられない。


決断するまでにとんでもなく時間をかけがちな私ですが、腹をくくってから行動するまではめちゃくちゃ早いのでoff campus housingにのっている物件に文字通り片っ端からメールを送りつけます。

が、かえってくるのは
"I am sorry, but this place is no more available. I hope you can find another place."
みたいなお祈りメールとか、そもそも返信すらしてくれないとか、そんなこんなで大惨敗が続きます。

動きがあったのは8月に入ってからで、ある一軒の家主の方から返信をもらいます。

「まだ空いてるから個人情報を教えてください」
とのこと。


実は日本では考えられないですが、トロントには家探しを仲介してくれる、日本でいう不動産屋さんのようなagentが存在しておらず、家探しは全て個人間で行われます。
メールなどで数件連絡して、契約内容を確認して、その条件で契約したければデポジットとして最後の月の家賃を前払いしたり、自分の銀行残高の情報を先に渡しておいたりするのも一般的に行われているようで、仮に前払いを拒否すると契約をしてくれない、という家がほとんどなんです。

トロントに渡航した後に住宅探しを始める場合、直接内見や家主さんとのコンタクトが取れるためリスクはある程度軽減することができます。
が、私のように日本にいてトロントでの家探しと契約作業を進めようとする場合、騙されるとしても全て自己責任。しかも、そういった詐欺まがいの行為でお金や個人情報を騙し取ってくるscamと呼ばれる悪質なケースが少なくないんです。


そして、私自身もこの被害にあいかけることになります。
先述した、連絡をくれた家主の人とメールを続けていくと、どうも様子がおかしい。
「契約するんだったら、大学の在籍証明書と、パスポートの写真と、クレジットカードの写真を送って。そうじゃないと契約できない。」


…え、クレジットカード?その写真なんでいるんだ?というか、もしその写真渡しちゃったら普通に番号打ち込んだら誰でも私のクレカで買い物できちゃうよね?


かなり怪しいなとは思いつつも、凍死しないことに必死な私はなんとか唯一空きがあるといってくれた家主さんから部屋を確保すべく、必死に代替案を提案します。
「銀行の預金残高証明書は?家賃はらえること証明できてるよね?これでなんとか勘弁して。」

家主さん:"No. I need the creditcard information for confiming your room. Otherwise, there is nothing that I can do for you."

私:"I know you are so kindly offering this room though I cannot directly visit you, and I understand that you need something so that I can prove my credibility. But still I am not permitted to send you that kind of info. Actually, University of Toronto warns us not to send private imformation prior to visit landlords in person. So, could you please propose me another way to reserve the room?"

この私のメールを最後に、おそらくscamであっただろう家主さんからの連絡はパッタリ途絶えます。

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scamやろう(多分)から送られてきた契約書。こんなちゃんとしてたら騙されちゃうよ…。


さて、困った。留学する日程は決まっているけど、家がない。このままだと野宿することになる。普通に凍死する。やばい。

けれどscamの一件で相当疑心暗鬼になった私は、どうなるかわかんないしお先は真っ暗だけど、金を騙し取られるよりはマシだし、トロントに渡航してから家探ししようと腹を括ります。


こんな感じでかなり絶望的状況だった私の元に、渡航が2日後に迫った8月30日、突然幸運が降ってきます。
Facebookで偶然知り合った、同じく日本から1年間トロント大学に留学する女の子が、
「私、ついさっきある家からオッケーもらったんだけど、その大家さんにNanamiが家見つけられるまで泊められるか聞いてみるね!」

と連絡をくれます。

そしてなんと大家さんがオッケーを出してくれたので、ひとまず渡航後はそのお家に居候することになります。

                                                • -


こうして9月1日、ついにトロントに到着、無事にそのお家にもたどり着いくことができました。
そして翌日に同じく到着した、日本人の女の子と意気投合、結果的にひとまず12月の末までは2人で1つの部屋をシェアして住むことになります。

もう心から、偶然の出会いと、幸運と、その子の寛大さに感謝。(今振り返ってみても普通に凍死しかねない状況だったな…。)



こんな感じで、トロントでの住宅探しはとてつもなく大変です。実際、トロントの家賃相場は深刻な住宅不足と移民の増加とかで急激に上がっているそう。


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写真:到着初日に撮った部屋の様子

1月からもこのお家に住み続けるか、それとも引越しするか、今のところ未定ですが、また引越しするとなると色々大変なんだろうな、先が思いやられる…。
(とか言いながら、めちゃくちゃ楽観主義なので、なんだかんだまたなんとかなるやろ、と思ってる自分がいるのが怖い。1月に家なかったら冗談じゃなく凍死するんだろうな…。)



またとてつもなく長くなってしいましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございました:)

自己紹介と、純ジャパの私が留学を考えるようになったきっかけ

はじめまして。現在、トビタテ留学JAPAN多様性人材コース11期生として、東京大学からトロント大学に交換留学をしているNanamiです。

 

東京大学では3年生で、教養学部後期課程教養学科総合社会科学分科国際関係論コースという死ぬほど正式名称の長い学科に所属しています(長すぎるので非常に簡潔に省略して、学内の人から国関と呼ばれている学科です)。

 

具体的な内容としては主に国際政治、国際法などを軸にしつつ、より詳しい国際政治理論を中心に扱う授業や、自分の興味領域であるイスラームの政治思想や中東の国際政治に関する授業などを受講していました。

 

現在は東大の全学交換留学制度を使ってカナダのトロント大学に1年間の交換留学をしています。

 

 

*全学交換留学って?

全学交換留学は東大に在籍しつつ1年間海外の大学で留学生として授業を受けられるというもので、授業料は東大に納めていればおっけーです。

普通海外大学に私費で留学すれば年間授業料だけで数百万円払わなければいけないであろうこと考えると、かなりお得な制度だと思います(その分応募などの事務手続きにかなり時間がかかったりはしますが…)。

また、学科によっては海外大学で取得した単位を東大の卒業要件の単位として認定してもらえる可能性もあります。

この単位交換制度を利用して、留学に行っても学年を落とさずに4年で大学を卒業して行く人もちらほらいます。

私自身は自分のキャパがそこまでないこと、そもそも留学を決めるに当たって動機の1つが「まだ社会に出たくない!」だったこともあって、しっかり学年を落とすつもりです。

 

  1. 東大から留学制度の利用を考えている人は以下のリンク先から協定校などの詳しい情報を確認することができます。

https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/go-global/ja/program-list-USTEP.html

 

 

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写真:ナイアガラの滝の前

 

*トビタテってなに?

現在私はトビタテ留学JAPANの奨学生としてトロント大学に留学しています。

私がトビタテに応募した詳しい経緯や選考プロセスについてはおいおいまた書こうと思っていますが、ざっくりいうと官民連携で日本から海外への留学やインターンを考えている学生を応援してくれるシステムです。

毎月の奨学金や渡航準備費などを支援してもらえるし、なんと奨学金は返済不要の給付型です。

 

これから留学を考えている人、もしくは自分なりのプランで海外への渡航を考えている人にはとってもおすすめできるのでぜひ応募してみてください!

以下、トビタテの公式サイトです。

https://tobitate.mext.go.jp/

 

 

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純ジャパの私が留学を考えたきっかけ

 

前置きが長くなってしまいましたが、ここからは1番最初のブログ内容にふさわしそうな、私がどうして留学を決めたか、というテーマで、自分の備忘録も兼ねて少し詳しく書いておこうと思います。

 

私がぼんやりと、「あー将来海外に出たいなあ」と考え始めたのは中学3年生の時、学校の研修でオーストラリアに2週間ホームステイする経験をしてからだったと思います。

それまで私の唯一の海外経験はその前年に母と旅したシンガポールくらいで、幼少期を高知県の山の中で走り回って過ごし、小学校も東京の公立に通っていた私はれっきとしたいわゆる「純ジャパ」で、海外とも英語ともまったく無縁の生活を送っていました。

 

中学受験を経て入学した先は帰国生がたくさんいる学校で、それはもうめちゃくちゃ劣等感に苛まれてました。

廊下ですれ違ったら同級生の友達が超高速で、おそらく英語であろう言語を使って、私にはまったく理解のできない話をしてる。

 

それまで日本語に囲まれてすくすく育ってきた私は急に異世界に放り込まれた気分でした。

結果的に、純粋に彼らがかっこいいなあと憧れる気持ちと、英語なんて一切門外漢だった自分が悔しい気持ちとで、私の「英語」コンプレックスが確立され、このコンプレックスはこのブログを書いている今現在まで私の中で圧倒的存在感を誇ることになります。

 

けれど、その中でも先述したホームステイを経験して、拙いながらに英語を使って多様な人とコミュニケーションを取れることの楽しさに不覚にも目覚めてしまいます。

 

大学入学と転機

大学に入ってからも依然として英語コンプレックスを持ち続けていた私は1年生の夏休みに海外に行こう、語学留学して英語喋れるようになろう、と決意。母親に留学費用を出してもらえるよう頼みに行きました。

が、この嘆願は一蹴されることになります。

 

「は?語学留学?今更何言ってんの?そんなんで海外行く意味ないでしょ。せめて留学するなら英語を目的化しないでちゃんと勉強しに行きなさいよ。単なる語学留学にお金とか絶対出さないから。」

 

…いやいやいや。今更も何も、今まで語学留学したことないしまだ英語も全然できないのに厳しすぎないか?

 

とは思いつつ、お金がなければどうしようもないので、TOPSという、オックスフォード大学と東京大学が連携して開催している1ヶ月のサマープログラムに参加することになります。

オックスフォード大学では主にCommon Law, Contract, そしてGreek Classicsを勉強したんですが、もう授業が最高に面白かった。

 

それまで、正直言って大学の授業が楽しい、なんて一度も思ったことがなかった私にとってはまさに目からウロコの経験でした。

まず東大と違って授業は全て少人数制。しかも一方向の講義ではなくて、教授が生徒に質問を投げかけ、生徒がそれに答えながらちょっとずつ内容の核心にに近づいていく、みたいなinteractiveな形式。

 

 

圧倒的に英語力は足りてなかったけれど、全てが新しくて、自分が主体性を持って講義に望む感覚が心地よくて、

「ああ、ちゃんと短期とかじゃなくて長期の海外留学をしたいなあ」

と考えるようになりました。

 

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そこからもまあいろんな偶然やら転機やらが積もりに積もって今こうしてトロントでブログを書いているわけで、

 

①どうしてトロント大学にしたのか

②そもそもなんで国際政治やイスラームの勉強をしてるのか

③なぜトビタテの「多様性人材コース」生として留学させてもらってるのか

 

などなど、あまりにも長くなりそうなので次回のブログでちょこちょこ書いて行こうと思います。

 

 

あ、ここまで書き忘れていたので少しこのブログを開設した目的について(最初に書けよ…)。

 

*このブログの目的

このブログは、東大生として、というよりトビタテの奨学生として、「留学」のリアルな体験を日記的に記録して、少しでも日本からの留学を考えている方達に留学が実際のところどんなものなのか伝えること、そして願わくは

「こんな純ジャパでちゃらんぽらんな奴でもなんとか留学して生きていけてるんやな」とか

「留学ってこんな感じなのか、案外なんとかなりそう」

みたいな安心感というか、留学へのハードルを下げるというか、とにかく迷っているかたへの後押しが少しでもできれば幸いです(そのために私自身がちゃんとサバイバルできることが必要条件ですが…笑)。

 

 

長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございました:)